兼ねてから情報が出ていたLBXの年次改良について今日公式のリリース情報がありました。
・Activeの追加設定
・リヤショックアブソーバーのシリンダサイズを拡大
・減衰力やEPSを最適化
・フロントアクスルの車両前後方向の動きを抑制
・ANC(アクティブノイズコントロール)を全モデル標準設定
・フェンダーに吸音材を追加
抜粋するとこのような細かく多岐にわたる変更が施されています。この他にも情報によると、ヘッドアップディスプレイの大型化もあったかと思います。
主に乗り心地、操安性と静粛性の向上に向けた変更である事が分かります。確かに現行LBXは特に街乗りなどでは突き上げる動きが大き目で、体が揺すられる感覚があります。右左折時、コーナリング時のロールも足回りの硬さからすると大き目に感じていました。これも初期LBXのキャラクターとして気に入っている部分でもあります。
佐々木雅弘氏が開発ドライバーを務めた現行モデルも一つの最良モデルと言えると思います。
突き上げに関しては、10年くらい前のゴルフRでは全く感じないような路面状況でも常にユサユサしている位感じます。これを乗り心地が悪いというかキャラクターと言うかで受け取り方が全然違います。改良してくると言う事は悪いと捉えていたのでしょうけど、私は嫌いではありません。
これらが一気に解決して、静粛性も上がれば言う事無しです。クルマ好きに向けた改良内容としては歓迎出来ます。
しかしフェンダーへの吸音材の追加については、数年間の効果に限定されると思います。
CTにもフェンダー内にシンサレートを成型した吸音材が貼られていましたが、納車3年足らずで汚れを吸着して固くなり、吸音材としての効果が落ちていました。この時追加した吸音材も効果は数年も持ちませんでした。何故そうなるかというと、フェンダー内は防水構造でなく、常に路面から跳ね上げられた水を吸い、また乾きの繰り返しなのでこの部位への追加施工であれば、納車から数年間の限定的な効果だと思った方が良いと思います。
私はLBXのロードノイズに関しては大きいとは思いますが、純正装着タイヤのダンロップが当初の予想以上に優秀で嫌みの無い音なので問題とは感じていません。高周波のパターンノイズが入って来るのでそれを抑える目的なのだと思いますが、CTの方がよほどうるさかったです。
ANCの全モデルへの標準設定は良いと思います。Bespoke Buildの場合、標準装着されていて、今まで3気筒のM15A-FXE型エンジンの音だけが気がかりでしたが、全く耳障りに感じる事無く今に至っています。むしろUXの4気筒の方が音量が大きく耳障りに感じた位です。これもANCの効果だと思っています。
しかしそうそう簡単にクルマの乗り心地を劇的に向上させる事は難しく、しかも走りに拘るMORIZO RR向けの変更であるならばこういった改良内容には納得ですが、通常モデルのLBXの購入層に向けた改良内容としてはほとんど響かない内容でマーケティング的にはもっと分かりやすい改良があった方が購入動機に繋がるのではないでしょうか。
そんなことより補機バッテリーが・・・と既存ユーザーとして叫びたいですが、今回のリリース情報には改良等言及されておらず、個別対応となってしまっているところは依然として残念です。後日確認したところ、詳細な資料にはバッテリー容量の変更の記載があるようです。しかし既存ユーザーで気付いていないユーザーはスルーされる可能性があり、メーカーの対応として不信感を感じざるを得ません。
ちなみに私はバッテリー交換は行われないユーザーの一人でプログラム更新があったお陰で随分と改善されたような気がしますが、変わらない部分もあります。
5日間乗らなかった際のSOCは30~40%と心配な数字です。線形的に減少する訳ではなさそうなので、2週間くらいは大丈夫なはずですが、12Vバッテリーのみではそろそろ限界でしょう。パワーOFF時もハイブリッドバッテリーからコンバータを通して充電出来るようなコストを掛けないといけない時期なのではないかと思います。今後も電装品が減る事は無く、むしろLBXの場合、助手席パワーシートやシートベンチレーション、電動テレスコピックステアリングなど、購入意欲を増す装備の追加は現設計では不可能という事が素人でも分かりました・・・。
走りなど付加性能の部分では満足なLBXですが、自動車としての基本性能の部分で不満というのはこれまでのトヨタ車ではあまり無い状態です。これまでは走りなど付加性能はイマイチであるものの、故障など絶対と言えるほど無いのがトヨタ車だったような気がします。メーカー(製造業)としてこの状態は理想なのか私には分かりません。
そんな基本性能の「改良」も今後期待したいところですが、今回の年次改良ではこれだけの改良をしてもお値段据え置きです。各サプライヤさんの協力や工場の改善などの成果だと思いますが、このご時世、据え置きはむしろ値下げです。いつが買い時か?という事に迷われると思いますが、モデルライフの間、年次改良は毎年のように行われます。なので欲しいと思った時が買い時です。
前車のCT200hには12年乗り、CT200hはマイナーチェンジも含め12回改良を受けています。今回の改良版LBXの同じような、足回りがソフトになった1回目の年次改良を受けた仕様を購入しました。それから10回ほど改良を受けたモデルを運転しても同じクルマでした。もちろん細かい部分では装備品が良くなったり剛性感が上がっていたり、ほんの少し静かかなと思う程度で、結局同じクルマ。乗り比べなければ何も気になりませんので、買いたい時が買い時で良いと私は思います。
今回の改良内容のリアショックアブソーバーやヘッドアップディスプレイなどの改良パーツが今後KINTOfactoryで現行モデルにも装着出来るようになったら面白いですね。